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第11話 強さが美徳の国

Penulis: みだん
last update Tanggal publikasi: 2026-08-29 05:00:04

国境を越えた瞬間、景色が変わった。

比喩ではない。

本当に変わったのだ。

アーデルハイド側は、なだらかな麦畑がどこまでも続いていた。

それが石造りの関を抜けた途端、急に土地が起伏を持ち始めた。

丘の稜線に沿って街道が走り、その両脇に、等間隔で何かが立っている。

「あれは、何ですか」

「石碑だ」

アルヴィス様が窓の外へ顎をしゃくった。

「戦死者の名を刻んである。この街道は、二百年前に帝国が北方の連合軍を退けた戦場だ」

「二百年前の名を、今も」

「毎年、削り直している。名は消えないほうがいい」

私は窓に額を寄せた。

石碑には花も供物もなかった。

ただ名前と、その下に短い一行だけが刻まれている。

遠目には読めなかったが、たぶん、その者が何をしたのかが書いてあるのだろう。

アーデルハイドの霊廟れいびょうには、聖教会の紋章と祈りの言葉が刻まれる。

誰が何をしたかは書かれない。

すべては神の御業とされるからだ。

――違う国に来たのだ、と思った。

*

道中の宿場で、私は妙なことに気づいた。

人が、寄ってくる。

アーデルハイドでは逆だった。

私が通ると人垣が割れた。

誰も目を合わせず、視界の端
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